2 行政比較




1.人口

 まず行政の基本情報として、人口の面から見ていきます。2000(平成12)年の国勢調査人口は門真市135,648人、守口市は152,298人です。府下衛星都市の平均は、約18.7万人でした。両市は人口規模から見れば、府下平均よりも小さな市と言えます。図表2-1は、両市の人口の推移を示しています。門真市の人口のピークは1970年頃の14万人、守口市は、1971年の18.8万人でした。門真市は、その後14万人規模をキープしてきましたが、1995(平成7)年と2000(平成12)年を比べますと、3.5%の減少を見ており、人口は停滞から縮小傾向にあるといえます。一方の守口市は、1980年代前半まで人口が減り続けましたが、それ以降は15万人台を維持しています。こちらも、1995(平成7)年からの5年間では3.5%の減少となっています。両市が合併すれば約28.8万人となり、人口20万人以上という「特例市」の要件を満たすことになります。
 都市の将来像を人口の面から見るとどうなるでしょうか。図表2-1の2005(平成17)年以降の部分は、1990(平成2)年、1995(平成7)年、2000(平成12)年のデータに基づき、人口の将来推計をおこなったものです。自治体の人口推計は、社会増減のインパクトが大きいので難しいのですが、1990(平成2)年から2000(平成12)年までの10年間の傾向が続くと仮定すれば、今後は人口が停滞から衰退へ向かい、2020(平成32)年には、門真市の人口は約10万人、守口市の人口は約12万人になるという結果となりました。
 図表2-2-1と図表2-2-2は、両市の人口推計を年齢3区分別に見たものです。両市ともよく似た傾向を示しています。全国的に少子高齢化がいわれており、門真と守口もその例外ではありません。より深刻なのは、労働力人口が約4割も落ち込むことです。これも全国的な傾向ですが、両市の場合は30歳代の人口で社会減が進んでいることも一因です。このことは、まちづくりの課題を示すとともに、将来的には税収の基盤が小さくなると言うことを示しています。

2.位置と面積

 門真市は、前身の門真町が1963(昭和38)年に市制を施行し、以来市域には大きな変化はありません。一方、守口市は、1946(昭和21)年に市制を施行しましたが、1957(昭和32)年に庭窪町を編入合併し、現在の市域が確定しました。
 両市は、大阪市の北東部に隣接して位置し、面積は、門真市が12.28平方キロ、守口市が12.73平方キロとほぼ同一の規模です。なお、大阪府下衛星市の平均面積は、42平方キロです。両市の位置は門真市の西部から北東部にかけて守口市が取り囲むように形になっています。主要道路としては、両市市域の南北を中央環状線・近畿自動車道が貫通しています。また東西方向には北部に国道1号線が通っており、南部には第2京阪国道の建設が予定されています。鉄軌道は、東西を京阪本線、南北に大阪モノレール線が通っています。また、北部では地下鉄谷町線が大日まで、南部では地下鉄長堀鶴見緑地線が門真南まで乗り入れています。
 人口密度は、1平方キロあたり門真市は11046人、守口市は11964人と高い水準となっています。これは、府下衛星市平均の4400人を大きく上回っており、大阪市平均である11743人とほぼ等しく、大阪市と連続性のある都市化した地域となっています。また、昼夜間人口比率も門真市は106、守口市は100と、単なるベッドタウンではなく、北河内の働き場としての性格も持っています。

3.行政組織の規模

 現在の市長の任期は、門真市長が2005(平成17)年7月9日まで、守口市長が2003(平成15)年9月12日となっています。市長以下の行政組織を見てみましょう。全職員数は、門真市が1,344人、守口市は1,629人です。人口との比率をみると、守口市のほうが若干多くなっています(図表2-3)。また、門真市・守口市と類似団体の関係にある松原市とをくらべると、人口千人あたりの職員数、特に自治体の差が出やすい一般行政の職員数で門真・守口両市とも松原市より多くなっています。仮に門真市と守口市が合併した場合はどのようなことが言えるでしょうか。門真市と守口市の人口の合計とほぼ等しい規模を持つ八尾市(特例市、27万5千人、42平方キロ)の全職員数は、2,517人で、その人口千人あたりの職員数は、9.4人です。門真市と守口市の合計が、約3,000人ですので、合併した場合、行政組織は約500人縮小するという推測が成り立ちます。
ただし、行政を職員の数だけで比較するのは危険な面もあります。その職員数の行政でどのような施策を展開し、住民の行政ニーズに対応しているかが重要です。数が少ないから効率的な行政だとは言えませんし、数が多いから手厚い住民サービスを行っているとも一概には言えません。各分野の施策水準を評価することが重要です。

4.職員の年齢構成

 職員の年齢別構成(図表2-4)を見てみますと、両市とも44-55歳の年齢層に偏っていることがわかります。これは、近年ずっと職員採用をおさえてきたことの結果ですが、その傾向は守口市の方により強く見られます。その結果、40代以上の年齢階層では、守口市が門真市を大きく上回り、逆に30代以下の年齢階層の職員数は、門真市の方が守口市を上回る結果となっています。
 しかし共通して両市の職員の年齢構成はいびつなものになっています。40代半ば以上の職員は、門真市で6割、守口市では7割に達しています。一方、40代以下の若い職員の数は少なく、現在、一線で活躍している職員の後継者をどうやって確保するかも問題になってきます。
 程度の差はありますが、この問題では両市とも同じ問題を抱えているといえるでしょう。

5.市議会定数と構成

 市議会の法定定数は、門真市が36人、守口市が40人ですが、それぞれ減数条例で、28人、30人に削減しています。門真市と守口市が合併した場合、法定定数は、38人となります。現議員の任期は、両市とも2003(平成15)年4月30日です。ただし、議員定数には、合併特例法の期限内に合併した場合には在任特例と定数特例のいずれかの適用を受けます。在任特例を受けた場合には、合併時の議員はその任期まで身分を保障されます。定数特例を受け、新市設置時に選挙をした場合は、最初の1期目について法定定数の2倍増までの定員増加が認められ、最大76名の議員定数となります。市議会の党派別構成は、無所属議員が最大で、公明党、共産党、自民党と続き、両市ともよく似た党派別構成ということが出来ます(図表2-5-1、2-5-2)。常任委員会は門真市が、総務水道、民生、建設、文教の4委員会、守口市が財政総務、建設水道、民生保健、文教経済の4委員会となっています。

6.総合計画の実施状況

 市行政の基本となる総合計画は、門真市では、平成13年度スタート、平成22年度を目標年次とした第4次総合計画の第1期の実施計画、守口市では、平成6年度にスタートし、平成17年度を目標年次とした守口市21世紀計画の第4期の実施計画が施行中です(図表2-6)。
門真市第4次総合計画は、将来像を「ゆたかな暮らしをはぐくむ生活・産業創造都市◇門真」とし、まちづくりの基本テーマを「住みたい住み続けたい・まち」としています。まちづくりの基本目標を、・ ゆとりとうるおいのある市民生活を創造する都市・門真―優しさや健やかさの創造―、・ あたたかいふれあいのある生活文化を創造する都市・門真―楽しさや集いの創造―、・ 快適で便利な都市生活を創造する都市・門真―美しさや快さの創造―、・ 安全な市民生活と活力をはぐくむ産業を創造する都市・門真―安全や活力の創造―を掲げています。計画人口は2010(平成22)年で14万人を想定しています。
 守口市21世紀計画は、「文化香る定住のまち守口をめざして」と将来像を掲げ、まちづくりの基本的な目標像として、健康で心ふれあう生きがいのあるまち、創造性をはぐくみ文化に親しむまち、花と緑と水辺のある快適な定住基盤の整ったまち、豊かな暮らしを支える安全なまちの4点を掲げたものとなっています。計画人口は2005(平成17)年で17万人とされています。

7.主要施策

 具体的には両市の行政は何に力を入れて行政を展開しているのでしょうか。両市の最近の重点政策を見てみましょう。図表2-7は両市の平成14年度予算における主要事業、重点施策とその予算額を表にしたものです。
 門真市では、公共下水道の整備がまだ続いています。また、木造住宅密集地の再整備や学校施設の更新などまちのメンテナンス的なハード事業に重点が置かれています。門真南駅前の区画整理事業など市内南部を中心に開発も進められています。その一方、ダイオキシン対策など新たなニーズも生まれてきています。
 守口市は、すこし抽象的ですが、「みんなで支え合うまちづくり」では、子育て支援事業や、市民同士で子育てを支え合うファミリーサポート事業などが施策として採用されています。「美しく暮らしやすいまちづくり」の分野では、不法広告物の撤去などまちの美化、歩道や市営住宅の改修や防災などが事業として盛り込まれています。ゴミの減量や、学校教育施設の改善に重点が置かれているほか、地下鉄・大阪モノレール大日駅前とその周辺地区の整備が近年の重点施策となっています。
門真市は市の南部の、守口市は市の東部の拠点開発を進めながら、既存の都市施設や基盤のメンテナンスが必要になっているという意味で、共通した重点施策をもっているといえます。

8.広域行政

 行政の分野の中には、各市が単独で行うより、他市と共同で行った方が効果的なものがあります。そのための制度として、広域連合や一部事務組合などの特別地方公共団体を作って事務・事業を行う方法、複数の市町村で協議会を作る方法などがあります。門真市・守口市を含む北河内地域では、いろいろな広域行政が行われています(図表2-8)。

(1)広域連合

 門真市と守口市は、四条畷市とともに「くすのき広域連合(本部:守口市市民保健センター)」を構成しています。「くすのき広域連合」は介護保険に関係する事務事業を共同で行うことを目的としています。3市市民は広域連合の本部と各市役所に設けられた支部にいずれにおいても、介護保険の申請、相談を行うことができるなど事務の共同化が行われています。

(2)一部事務組合

 そのほか、門真市と守口市は、共通して5つの一部事務組合、守口市のみ、競艇事業を行う一部事務組合に参加しています。消防は門真と守口2市のみで構成され、霊園組合は、大東、四条畷の両市も参加しています。その他、下水道、水防、排水管理などの組合については、寝屋川や淀川の流域自治体が参加する形で一部事務組合を構成しています。防災・災害対策の関連分野での広域行政が発達しているといえます。なかでも、消防組合は、門真の市制施行以前に設立され、規模も大きく、門真市と守口市の広域行政の要となっています。

(3)協議会

 協議会という広域行政もあります。広域連合と一部事務組合は特別地方公共団体ですが、団体を構成せず各市の協議の上で事務を共同執行するのが協議会です。広域行政圏計画推進と救急医療、二次医療に関する協議会がいずれも北河内7市で構成・運営されています。具体的には北河内夜間救急センター(所在地:寝屋川市)を共同で運営しています。

9.市民窓口サービス

 もっとも身近な行政サービスである、諸証明の発行などの窓口サービスはどうでしょうか(図表2-9)。市役所本庁以外で、窓口サービスを行っている窓口数は、門真市が北部市民サービスコーナーと南部市民センターの2カ所、守口市が守口市駅にある市民、東部、南部、庭窪の各サービスコーナーの4カ所です。取扱日は、各窓口によって違いがありますが、両市ともに年末年始以外は、どこかの窓口が開いています。取扱時間は、門真市のほうは9時半から4時半までに統一されていますが、守口市は、守口市駅の市民サービスコーナーで通勤・退勤時間帯に諸手続の予約ができるという点に特徴があります。取扱範囲の方は門真市の場合、平日と休日で異なります。そのため、平日では、門真市の窓口の方が対応できる範囲が広く、休日では守口市の対応範囲が広いと言えるようです。
 また諸証明の発行の手数料などは両市でほぼ同一となっています。



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