5 福祉・教育・医療




 ここでは、社会福祉・教育・医療面から、「門真・守口両市の現状はどうなっているのか」ということをみていくことにします。

1.保 育

(1)保育所数(公立・私立・無認可)

 保育施策について、両市を比較してみましょう。ここでは公立保育所だけでなく、各市内にある私立・無認可保育所もあわせてみることにします(図表5−1)。まず門真市の保育所数をみてみると、公立保育所が7ヵ所、私立保育所が8ヵ所、無認可保育所が12ヵ所となっています。守口市では公立保育所が20ヵ所、私立保育所が3、無認可保育所が6ヵ所となっています。守口市と比較して門真市において、公立保育所数が少なく無認可保育所数が多くなっているということがわかります。
続いて保育所施設充足率で両市を比較すると、公立保育所のみという指標であれば門真市が37.6%に対して守口市では93.0%となっています。公立・私立あわせた保育所施設充足率でも門真市では76.5%、守口市では103.9%となっており、門真市では保育所数・定員数が不足していることがわかります。

(2)保育所数・定員数の不足と待機児童数

 門真市での保育所数・定員数の不足は、市内12ヵ所にある無認可保育所に頼らざるをえない状況となっています。また、12ヵ所のなかで半数近い5ヵ所の無認可保育所は行政からの補助金対象外の施設となっています(図表5-1)。保育所数の不足、とくに公立保育所数・定員数の不足を無認可保育所で補う一方で、一部の無認可保育所では、行政からの補助金がないという運営的に厳しい状態に置かれています。
 保育所数・定員数の不足は待機児童数(入所を希望して入所できなかった数)となって現れており、門真市では90名、守口市では45名が待機児童数とされています。

(3)公立保育所

 それでは続いて両市の公立保育所についてみておきましょう。門真市では7ヶ所、守口市では20ヵ所設置されており、公立保育所の定員数はそれぞれ門真市が760名、守口市が2,046名となっています(図表5-1)。続いて、人口1,000人あたりの公立保育所の定員数で比較してみると、門真市では5.60名に対して、守口市では13.43名となります(図表5-2)。門真市の公立保育所の数・定員の水準は守口市の半数以下であることがわかります。
 両市とも共通している部分も見受けられます。たとえば保育時間(延長保育含む)は7:30〜18:30までとなっています。なお大阪府下33市で保育時間が18:30までの市は門真・守口両市を含む7市となっています。7市以外の26市の公立保育所では19:00以降までというところがほとんどとなっています。また、乳児保育や休日・一時保育といった施策についても共通しています。
 但し、障害児保育についてはやや異なっているように見受けられます。守口市の公立保育所20ヵ所中17ヵ所が障害児保育を実施しているのに対して、門真市の公立保育所では7ヵ所中3ヵ所のみの実施にとどまっています。守口市では障害児72人中70人が公立保育所を利用していますが、門真市では半数以上の障害児が私立保育所に通園しています。

(4)保育料

 次に保育料で両市をみてみましょう。図表5-3は「3歳児未満で1人目の場合」ということで所得階層別に両市の保育料をあらわしたものです。・・・・・・・の段階でそれぞれ守口市の方が低く設定されています。いいかえれば門真市の方がそれらの段階では高く設定されているということがわかります。比較的に所得が低い階層においては、門真市の方が高く設定されているといえます。一方で、所得税額が最も高い階層である・の段階では逆に門真市の方が低く設定されています。
 「3歳児で1人目の場合」の保育料は・の段階以外のほとんどの段階で守口市の方が低く設定されています(図表5-4)。
 

2.子どもの教育、医療

(1)乳幼児医療費助成

 両市ともに乳幼児医療費の助成についての対象年齢は0〜1歳児と共通しています。門真市では所得制限がないのに対して、守口市では所得制限があります。また、門真市では毎月5,000円の自己負担で就学前まで償還で通院に対する助成がなされています(図表5-5)。

(2)幼稚園の状況

 門真市では先にふれた公立保育所と同じように、公立幼稚園についてもその数は守口市と比較して少ないことがわかります(図表5-6)。これは門真市の公立幼稚園の統廃合がすすめられ、幼稚園数が半減(8園から4園)したことによるものです。門真市の公立のみの幼稚園施設充足率は10.7%となっています。これは府下平均の25.1%を大きく下回っています。公立・私立幼稚園をあわせた幼稚園施設充足率でみてみると、門真市は84.7%となっており、守口市が76.0%となっています。このように門真市の幼稚園施設の整備は、そのほとんどが私立幼稚園によってまかなわれていることがわかります。

(3)学校教育関連

 小学校および中学校については、学校数、児童数ともにやや守口市の方が多くなっています(図表5-7)。そのなかでも、まず、給食の状況についてみることにします。門真市では給食が全校(小学校・中学校)で実施されています。一方で守口市の小学校では給食が実施されていますが、中学校では給食がありません。また、給食業務の外部業者への委託化については守口市が先行しており、すでに小学校19校中9校で委託化されています。門真市でも2002年度から中学校2校で委託化がおこなわれています。
こうしたなかで、門真市の給食では、「レンコン」や「くわい」といった門真市内で生産されている野菜を給食で使用するという取り組みがなされています。量的にすべてを地元でまかなうことはできないようですが、地元農家から仕入れた新鮮な野菜を子どもたちが口にすることができます。生産の場と消費の場が離れていて、どうやって野菜を作っているのかといったことが見えにくくなっているなかで、地域で生産された食べ物をその地域で消費するという取り組みは注目されます。
 次に学校施設のなかでもプール設置校数についてみておきたいと思います。門真市では全校(小学校・中学校)にプールが設置されています。一方、守口市では、中学校の全校にプールが設置されているものの、小学校には19校中16校の設置にとどまっています。

(4)社会教育関連

 社会教育関連の施設では、たとえば公民館は両市ともに設置されています(図表5-7)。守口市の11ヵ所に対して、門真市では2ヵ所の設置にとどまっています。図書館については門真市では2ヵ所設置されていますが、守口市では設置されていません。児童館については、守口市では1ヵ所設置されていますが、門真市にはありません。
 また、学童保育所は守口市では16ヵ所に設置されていますが、門真市ではわずか7ヵ所の設置にとどまっています。

3.生活保護の状況

(1)被保護世帯数、人員数

 被保護世帯数と人員数についてですが、1996(平成8)年度末と2001(平成13)年6月の状況を比較してみましょう。両市において被保護世帯数・人員数ともに増加していることがわかります(図表5-8)。世帯数・人員数ともに両市で約1.5倍以上の増加となっています。

(2)被保護率

 被保護世帯数・人員数の増加にともなって、もちろん被保護率も増加しています。ちなみに、被保護率は千分率(‰、パーミル)で示されます。1,000人に何人、ということをあらわしています。門真市では1996(平成8)年度末に15.31‰(すなわち1,000人のうち約15人が被保護人員)だったのが、2001(平成13)年には23.80‰となっています。同じように守口市をみてみると、11.24‰から19.08‰へと増加していることがわかります。
 府下平均の被保護率は2001(平成13)年6月は12.23‰となっており、両市ともに府下でも高い被保護率となっています。府下では門真市が最も高く、東大阪市をはさんで守口市が3番目に被保護率が高い、といった状況になっています。

(3)職員数、1人あたりケース数

 門真・守口両市ともに生活保護業務担当職員数はほぼ同数となっています。また、実際に被保護世帯の方々と接する仕事をかかえるケースワーカー数ではまったく同数となっています。しかし、被保護人員では門真市の方が守口市より多いために、職員1人あたりのケース数も増えることになります。ケースワーカー1人あたりのケース数は門真市では111.7、守口市では102.3となっています。ちなみに、厚生労働省が提示しているおよその基準では、ケースワーカー1人あたり80ケースとなっており、両市ともにこの基準を上回るケースをかかえていることがわかります。とくに門真市のケースワーカーの数が少なく、1人あたりの担当ケース数の多いことが目立っています。

4.高齢者福祉、介護保険

(1)くすのき広域連合を構成する3市

 くすのき広域連合は守口市・門真市・四條畷市の3市が共同で介護保険を運営する保険者として、1999(平成11)年に設立されたものです。広域的な対応をおこなうことで、行財政運営の補完強化や住民サービスの充実・効果などをメリットがあるとして組織されたものです。くすのき広域連合の人口規模は約34万人、高齢化率13.7%となっています(図表5-9)。
 3市の特徴ですが、人口規模が最も大きいのは守口市であり、最も小さいのは四條畷市となっています。人口伸率で比較しますと、唯一増加しているのが四條畷市で、門真・守口両市はともに減少しています。高齢化率で比較しますと、最も高齢化率が高くなっているのは守口市の15.3%であり、最も低いのは四條畷市の12.1%です。

(2)高齢者福祉の状況

 まず、介護保険料についてみておきます。くすのき広域連合の介護保険料は3,188円で、府内平均は3,134円となっています(図表5-10)。北河内7市の平均は3,157円となっており、ほぼ平均的な額といえます。ちなみに、府内で最も介護保険料が高いのは大阪市の3,381円で、最も低いのは河南町の2,862円です。
続いて、くすのき広域連合内の高齢者福祉の状況をみていくことにします。たとえば、ケアプランを作成する居宅介護支援事業所をみてみると、守口市内に多くあることがわかります。守口市が最も高齢化率が高く、サービスの対象者である高齢者が多いこと、交通至便であるといったことが関係しているものと思われます。訪問介護(ホームヘルプサービス)においても、守口市内に拠点を持つ事業所がやや多いことがわかります。

(3)高齢者福祉施策(主な生活支援事業を例に)

 高齢者への施策は介護保険による給付サービス以外にも、介護予防や生活支援事業といったサービスが展開されています。ここでは、そのなかでも生活支援事業の配食サービス・外出支援サービス・軽度生活援助事業についてみておきます(図表5-11)。
 くすのき広域連合内でサービスの基本的な部分はほぼ統一化するように調整されていますが、サービスの中身や利用対象、利用回数、利用料金などに若干の違いがみられます。たとえば、軽度生活支援事業では四條畷市が利用対象を拡大して設定していることなどが見受けられます。

5.医療体制

(1)病院数、病床数

 ここでは、門真・守口両市と、くすのき広域連合をともに構成する四條畷市を含めた3市の医療について比較することにします(図表5-12)。
 病院数でみてみると、最も多いのは守口市で、200床以上の病院も3ヵ所あります。門真・四條畷両市には200床以上の病院はありません。病床数でも守口市が2,543床と最も多くなっており、診療所数においても最も多いのは守口市となっています。

(2)救急医療体制

 3市はいずれも医療圏域において、北河内二次医療圏(北河内7市)に属しており、救急医療についても、北河内二次医療圏内で救急体制がとられています。初期救急医療体制については、3市ともに市立の休日診療所が設置されています。二次救急医療機関は守口市内に4ヵ所、門真・四條畷両市ともに2ヵ所あります。さらに高度な救急医療機関としての三次救急医療機関(北河内二次医療圏で1ヵ所)については、守口市内にある関西医科大学附属病院高度救急救命センター(40床)が対応することになっています。

(3)小児科、脳卒中急性期治療

 次に小児科病床を有する病院数をみてみると、3市では守口市内の関西医科大学附属病院(34床)と松下記念病院(21床)の2ヵ所のみとなっています。また、脳卒中急性期治療について、平成10年度に1症例以上扱った病院数をみてみると、門真市内では0ヶ所、守口市内では2ヵ所、四條畷市内では2ヵ所となっています。先ほどの救急医療体制や小児科、脳卒中急性期治療などをあわせてみると、3市のなかでは守口市が医療の中心となっているということがわかります。

6.国民健康保険の状況

(1)加入者の状況

 国民健康保険は自営業者や、被用者保険に加入していない者を対象として、その疾病・負傷・出産及び死亡に関して必要な給付を行う制度です。各市の加入者の状況ですが、世帯加入率をみてみると門真市48.5%、守口市48.7%、四條畷市が42.4%となっています(図表5-13)。被保険者加入率では、門真市が39.9%、守口市が39.2%、四條畷市が32.0%となっています。

(2)保険料収納状況

 続いて国民健康保険の保険料収納状況を収納率からみることにします。1997(平成9)年度と2000(平成12)年度の数値を比較すると、収納率が上昇しているのが四條畷市で、門真・守口両市は収納率が−2.24%、−3.61%と低下しています。また、2000(平成12)年度の収納率をみると、門真市の79.65%が目立ちます。収納率が8割に満たないのは府下(大阪市を含む)でも門真市だけです。府下平均は89.88%であり、それを大きく下回っていることがわかります。門真市には低所得階層が多く、保険料を払うことができないという状況が大きく関係しているものといえます。

(3)保険料

 それでは、保険料はどうやって算定されているでしょうか。これは各市によって異なります。門真市では、所得・資産・均等・平等割で保険料を設定しています。守口市では、所得・均等割で、四條畷市は所得・均等・平等割で保険料を設定しています。また、各市で賦課限度額を設定することができ、門真市では総所得金額500万円未満では47万円、500万円以上であれば50万円となっており、守口市、四條畷市では51万円となっています。
 保険料算定の均等割でみてみると、守口市の50,400円は府下でも箕面市(60,000円)の次に高く設定されています。所得割についてみてみると、三市のなかで最も高いのはやはり守口市となっています。



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