衣装を着て歌を練習する出演者ら(大阪弁護士会館で)
毎日を平和に人間らしく暮らすなど、個人の尊厳をうたった憲法の理念をミュージカルで表現しようと、大阪や神戸の弁護士らでつくる実行委員会が10月の公演に向けて出演者を募集したところ、約120人の市民が集まった。3回目の今回は、東日本大震災からの復興を願い、貧困に苦しむアフガニスタンで医療や農業支援活動に従事する医師を題材にしたストーリー。出演者らは「憲法が素晴らしいものだということを理解し、たくさんの人たちと感動を分かち合いたい」と、練習に励んでいる。(浦野親典)
「25キロも手作業で水路を完成させたんだ、という気持ちを前面に出してほしい」
9月3日、大阪弁護士会館(大阪市)で行われた練習会。完成した水路に村人たちが喜び合うクライマックスの場面を演じる出演者を前に、脚本・監督の田中暢さんが指導する。その姿を真剣なまなざしで見つめる出演者たち。
今回の題名は「ドクター・サーブ」。アフガニスタンで活動する「ペシャワール会」の現地代表・中村哲医師が主人公だ。水路を掘り続けながら、難民一人一人の命を大事にする思いを表現し、個人が尊重される社会の実現を訴える。
出演者の一人、豊中市島江町、無職向井和宣さん(62)は、「大勢の人たちと一緒に作品づくりができるのはうれしい。どんな困難な状況でも明日への希望を持って強く生きることが大切だと、演じながら思えるようになった」と話す。
出演者は府内を中心に、幼児から70歳代のお年寄りまで。職業もさまざまで、弁護士4人も参加。6月から毎週土日に計150時間以上の練習を行い、仕上げとして9月中旬には合宿も行う予定だ。
この憲法ミュージカルは、2008年、元従軍慰安婦の生涯を描いた「ロラ・マシン物語」を始めに、これまで2回の11公演で1万人以上の観客を動員。今回は、さらに輪を広げようと、神戸公演も企画し、昨夏から準備を進めてきた。
実行委員会は「出演者が練習に励んできた結果、1人ひとりの魅力が発揮されつつある。舞台を通して憲法の素晴らしさを感じてもらいたい」と話している。
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公演は5会場で実施。日程は以下の通り(時間は開演時間)。
▽10月1日午後2時30分、ルミエールホール(門真市)▽10日午後2時、同6時、メルパルクホール(大阪市)▽22日午後3時30分、プリズムホール(八尾市)▽23日午後3時、浪切ホール(岸和田市)▽30日午後2時30分、神戸文化ホール(神戸市)。前売りが一般2800円、大学・高校生2300円、中学生以下・障害者1800円。当日は500円増し。
問い合わせは、実行委員会(06・6776・7500)へ。
大阪・神戸
憲法ミュージカル2011実行委員会HP