06新春対談

やりとげた子どもたちの顔を見たら、 またやっていこうと思うんです。

2回門真市民ミュージカ「茨田の堤」

 

  前列、山中さん(左)、水井さん(右)

  後列、濱中さん(左)と西本委員長

 2004年の第1回公演に続いて、今年3月に第2回門真市民ミュージカルが開催されます。

 出演者は100人。実行委員会はボランティアで支えられており、苦労も多いでしょう。

 西本委員長が実行委員3人の方にお話をうかがいました。

対 談

 門真市民ミュージカル実行委員

  濱中 早苗さん(門真市民劇団「いっぽ」団長)

  水井 直美さん(一般代表)

     山中 智愛さん(一般代表)

 門真市職員労働組合

  西本孝雄委員長

 

 
――門真とミュージカル…イメージ的にはピンとこないのですが

 門真にミュージカルなんて…という気持ちもあったんですが、裏をかえせば、そういうことができる市になってきてるということなんですね。


 これからおとなになっていく子どもたちが、この門真を愛して門真に誇りをもってくれたら、将来的に子どもたちが大きくなった時に、今とは違う門真のイメージになっているんじゃないかと勝手な期待をしているんです。

 また、門真がやっているんだったらうちでもやりたいと、寝屋川や守口でも来年度にむけて立ち上げを試みています。いずれこの京阪沿線でいろんなミュージカルが上演されて、それがまたひとつのネットワークになればおもしろいかなと思っているんです。

――今年のテーマは「茨田の堤」ですか。これは脚本の先生が?

 もともとは、うちの劇団(劇団いっぽ)の子が書いたもので素人の作品です。劇団「いっぽ」が3年前に上演したのですが、今回台本を一から書く時間がなくて、それを原作にしたものなんです。演出家の先生にご指導いただいていますが、100名です、出演者の数が全然違うんですね。ですから今回のオリジナルという形で台本を書き直してもらいました。


 民話の「茨田の堤」そのものではなく、民話をもとにした現代バージョン。現代にかかえている問題がテーマです。夏神様が力を持ってくる、暖冬異変、温暖化の問題をちょっと入れて、そこに昔茨田の堤で神様と人間が戦ったという話を入れていこうと。最初は「茨田の堤」の内容の説明から入り、そこから、現代の子どもたちが今抱えている問題へと移っていくんです。今年はだれが観てもわかりやすい物語にはなっています。


 去年の作品は内容が非常にむずかしくて、子どもたちがよくがんばっていて、専門家の方からは「すごかったですね」と言ってもらったんですけれども、一般の方々から「よくわからなかった」という感想が多かったんです。スタッフの中にもそういう感想をもった者もおりました。ただ、出演した100名の方々は、吹奏楽も含めて、すばらしい達成感、すごいがんばってこれだけのものが演じれたという思いは持ってくれたと思います。でもやはり、観ていただく方にも楽しんでいただけるものをということで、今年は理解していただきやすい物語に替えました。

 演じる方の充実感と観ていただく方の娯楽性の両方が、第2回目としてこのミュージカルを計画させていただく時には必要ではないかなと思いました。

――市民ミュージカルを取り組んでいるところは府下ではほかには?

 枚方でとりくんでいますが、作品は「天の川伝説」。毎年決まった物語をオーディションして、30〜40人の子どもたちを採って、夏休みに20日間くらいで仕上げるんです。パート分けしていて、歌う子、踊る子、演じる子みたいな感じで、指導者の方はその方がすごく楽ですし、する方も自分のところだけすればいいわけですから、楽は楽です。そういう形をとられている市民ミュージカルのほうが多いですね。

人ひとりが 歌も踊りも演技も やるのがスゴイ


 うちのミュージカルでは、一人一人が歌も踊りも演技も全部やるので、これがすごい。だから並のミュージカルじゃないんです。そういう意味でほかとは規模が違うと自負しております。100人の出演者の台詞が全部入るんです。去年は、一人で言うのが80人くらい。あとは重なって言う形でしたが、それでも80人分のせりふを使おうと思ったら本当に大変です。

 一人ひとつしゃべってもすごいことになりますから。それを今回は全員しゃべらせるので。本当にこれで1時間で終わるのかなと思いますけど。そういう意味でも本当にうちのミュージカルは観られたらびっくりされると思います。

――苦労されていることは?

 苦労ばっかりです。スタッフも圧倒的に足りませんし。
 完全なボランティアなんですけど、どうも私たちが給料をもらっているんじゃないかと思われていまして、お金のない、ゼロからやっているというのが信じられないみたいですね。ボランティアですから、使えそうなものがあったら提供してください、ちょっとしたお手伝いをしていただける方はお願いしますと、そういう部分を理解していただくのが非常に難しいですね。


 お金にはなりません。どっちかといったら出ていくばっかり。時間とお金と労力を提供しないとこういう活動ってできませんけれども、なんで2年目もやっているかといったら、根底には、子どもたちがすごいいきいきと学校ではみせない笑顔であるとかすばらしいものを私たちにみせてくれるといことがあります。

 昨年、約70名の子どもたちと30名の高校生以上の人達が集まった中で、日々変わっていく姿を見させて頂いたことは、大変幸せなことだったと思っています。何もできなかった子どもたちが、一つの作品を仕上げていく姿、これは関わった者でないとわからないし、100人という人数が集まったからこそよかったという部分もあります。

 それと大舞台に立つというのはなかなかないことですので、その100人の出演者がルミエールの大ホールの舞台で演じるフィナーレは壮大なんですね。

 この何ヶ月にもわたる、血のにじむような、涙のでるような努力も、そのときにむくわれてしまうんですよ。きっとバカなんだと思うんですけれど。やってよかったなと。自分は出てないですけれど、その気持ちを味わわせてくれるっていうことでしょうか。


 子どもたちの終わった後の達成感というか、この顔をみていたらむくわれますよね。


 今年、静岡県から視察にこられました。そこのミュージカルは3年に1回、今年で5回目なんですが、市が基金を元に運営してきたけれども、財政も苦しいので、そろそろ市民にゆだねてしまいたいというわけです。市民の側は市がやってくださいというので、非常に困っています。いいことだし、自分が今まで関わってきたことで続けていってほしいけれども、市として100%関わることにもそろそろ限界がきている、どうやったら市民だけでミュージカルができるのかと視察にわざわざおみえになったんです。

――確かにそういうパターンの方が多いでしょうね。行政が立ち上げて少しずつ離れていく。ここみたいに、自分たちでたちあげて、後から行政が追っかけていくというのは少ないでしょうね。

 私たちは、市民が、自分たちの想いで、「ミュージカルをやりたい」と立ち上げてやってきていますから。


 島根県に14年くらいミュージカルやっているところがあります。毎年、何百人という応募があって、その中で、今回は歌で出る子、踊りで出る子、スタッフになる子という一つのパターンができているんです。一年一年人が育っていってボランティアとして帰ってくる。それがもう14年続いている。そんな形を夢みているんですが。

――行政にのぞむことは?

 今は、門真市と教育委員会と財団の後援をいただいていて、市民文化課が窓口になって応援していただいています。1万2000人の小中学生にこんなんありますよって学校を通じて配ってもらったり。


 行政としてというよりも、プロの市の職員がいっぱいいる中で、もっと宣伝していただいて、こういう書類を出したら援助をもらえるよとか、いろんな得意分野をもった人たちが一緒にスタッフに入ってもらえれば、いうことはないです。一緒にこういうことやろうという形がそこにできあがっているんだから、これをなんとか助けてくださったらと思っています。
 本当にずっと続けていくのであれば、どういう形であれ、市民と行政が一緒にやっていかなきゃいけない事業だと思っています。

――最後にひとこと。

 今年のミュージカルは春夏秋冬の四季をとりいれた、メリハリのある舞台になると思いますので、みなさん、ぜひ見に来てください。


第2回門真市民ミュージカル 「茨田の堤」

公演日時  2006年3月25日(土)17時開演 

                   26日(日)13時開演・17時開演

会場  ルミエールホール大ホール


主催 門真市民ミュージカル実行委員会


後援  門真市

          門真市教育委員会

     門真市文化振興事業団

     門真市PTA協議会