不況逆手 アート商店街

空き店舗で若手創作発表

門真の幸福本通

 2010年2月13日付「読売新聞」より

    

      ファッションショーのリハーサルをする美術家たち

                               (門真市の幸福本通商店街で)

 

 大阪府門真市の京阪古川橋駅北側にある幸福本通商店街が、美術家と地元住民、街づくりNPOなどと一緒に、美術を通して商店街ににぎわいを取り戻す「門真アートプロジェクト」に挑戦している。不況で増えた空き店舗を逆手に取って、若手美術家らに公開制作の場として開放するなど、アーケードを〈美術館〉に見立てたユニークな試みだ。15日から美術作品展を開き、28日にはファッションショーを上演、本格的な集客に乗り出す。

 京都市のNPO「生活環境づくり21・NPOフォーラム」のメンバーで、美術家のはしづめまきさん(35)が中心になって企画。昨年9月に、地元の商店主や企業などでつくる「門真市幸福町・垣内町・中町まちづくり協議会」などとともに実行委員会を結成した。

 オープニングイベントとして昨年10月、「世界の缶詰バー」を開き、約100人が各国の缶詰を味わいながら交流を深めた。

 公募で選ばれた約30人の若手美術家らが翌月から、空き店舗5か所を利用して、地元住民と触れ合いながら公開制作をスタート。店内一面に描かれた壁画を始め、様々な世代の人たちの喜怒哀楽を集めた映像作品、ケーキを模した「スイーツ万華鏡」、手作り絵本などの力作がそろった。

 2月15日〜28日には、これらの作品を展示する「つながり展」を開催。初日の15日午後6時には、好評だった「世界の缶詰バー」を再び店開きする。28日午後6時からは、美術家らが制作した衣装のファッションショーも行う。23日には門真市立浜町小学校で、児童らと美術家らが一緒になって商店街の看板を制作する。

 はしづめさんは「やさしい声をかけてくれ、商店街の人は本当に温かい。将来は訪れた人の中から商店街に店を出したいという人が現れたら、最高の活性化になる」と話す。

 最盛期には約80あった商店街の店舗は現在、半分以下に減った。幸福本通商店会の宮本喜夫会長は「若者が一生懸命芸術に打ち込む姿を見ると元気が出る。協力して新しい門真の文化を育てていきたい」と意気込んでいる。