「バッタリ」復元 門真

小舟行き交う水路の木製閘門

 2009年10月12日付「読売新聞」より

 

 

往時の姿そのままに復元されたバッタリ(手前が上流部の水門、門真市で

 

 道路網の整備などで姿を消した門真市内の木製閘門(こうもん)「バッタリ」が復元され、水路に戻ってきた。水面の高さが違う水路などで、舟を通すために水位を調節する水門。1960年代頃まで使われていたが、保存を求める地元の声を受け、府と市が、ほぼ同じ形で“復活”させた。市は「往時をしのぶことができます」と、観光名所になることを期待している。

 バッタリの名前の由来は、上流部の観音開きの水門が「バタリ」と閉まる音▽「バッタリ将棋」といわれる折りたたみ式将棋盤――など、諸説ある。パナマ運河の閘門と、ほぼ同じ仕組みという。

 門真市内は低湿地で、田畑を小舟で行き来するための水路が発達、バッタリは明治初期に数多く設置された。その後、道路網の整備で次々と姿を消し、唯一、南野口町の府道脇に残っていた1基も、第2京阪道路建設に伴う府道拡張工事で、2年前に撤去された。

 「歴史的構造物を、現地に残して保存を」という声が上がり、府と市は復元を決定。府道の拡張工事がほぼ終わった今年8月、約100万円をかけ、約20メートル離れた水路に新設した。

 上、下流に一つずつあり、上流の水門は高さ1・7メートル、幅2メートル。水路にあわせて設置したため、撤去された水門より幅は少し広めだという。実際には作動しないが、説明板や見学スペースを設けてPRする。市立歴史資料館の宇治原靖泰学芸員は「低湿地で農業を営んだ人々の知恵が詰まっている。ぜひ、見学してほしい」と話している。