|
団地内で見つかったヒメリンゴマイマイ=神田哲久さん提供遠本自然保護協会・大阪連絡会提供 |
フランス料理のエスカルゴになる欧州原産のカタツムリが、大阪府内の団地内で大量に繁殖していることが、滋賀県立琵琶湖博物館などの調査でわかった。国内での報告例はないが、このカタツムリは繁殖力が強く、海外では農作物に大きな被害を出している。住民らは12日、日本自然保護協会の協力で観察会を開き、駆除に乗り出す。(田之畑仁)
外来のカタツムリが見つかったのは、大阪府門真市の府営門真三ツ島住宅。住民で日本自然保護協会・自然観察指導員の神田哲久さんが昨年10月に見つけた。中井克樹・琵琶湖博物館主任学芸員が鑑定した結果、「プチグリ」の愛称を持つ欧州原産のヒメリンゴマイマイとわかった。
このカタツムリは数センチの大きさに育ち、フランス料理ではリンゴマイマイとともに、エスカルゴの材料になっている。繁殖力が旺盛で、様々な種類の植物を食べてしまう。米国・カリフォルニア州では、柑橘(かんきつ)類に大きな被害を出したと報告された。
大阪の団地にどう侵入したのか不明だが、食材として持ち込まれたものが逃げ出し、繁殖した可能性がある。これまでに約2千匹以上を駆除したが、現在も約3万5千平方メートルの敷地内に点在する街路樹や庭木で大量に繁殖している。すでに団地内のアロエなど複数の植物に被害が出ている。
住民らは12日の観察会で、日本産のカタツムリとの見分け方や、確実な駆除方法などを勉強することにしている。
千葉聡・東北大准教授(生態学)の話 ヒメリンゴマイマイが同時に大量に発見されたという報告は、国内では聞いたことがない。国内種に与える影響は分らないが、乾燥にも強いため、海外ではあっという間に広がり、農業害虫になっている。早急に駆除する必要がある。