第3回
伝茨田堤 〜 古墳時代の門真
宇治原 靖泰 (市史編さん課)


 「茨田堤」というのは、5世紀頃淀川の洪水を防ぐために築かれた堤防で、古事記・日本書記に記述がみえ、記録に残る土木工事の遺構としては最古のものです。
 門真市宮野町には式内社の堤根神社が鎮座する堤防の跡が残っています。この堤防跡が、現在地上に残る唯一の「茨田堤」と推定されるもので、大阪府の史跡に指定されています。
 古墳時代の門真は、弥生時代より陸地は増えますが、「淀川」と「河内湖」に挟まれた細長い微高地が生活の場で、常に洪水の危険にさらされていました。そこで「茨田堤」を築き安定した土地にしようとしたのです。
 となりの守口の市梶遺跡で6世紀初めの古墳が3基発見され、茨田堤との関係が注目されます。



宇治原 靖泰さん プロフィール

1957(昭和32)年4月12日生まれ、滋賀県彦根市出身、奈良大学文学部史学科考古学専攻卒業、大阪府教育委員会、東大阪市文化財協会を経て、昭和60年より現職。(うじはら やすひろ)


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