政府が1月19日からの通常国会に提出する、市町村合併の新法案の概要が1月13日、明らかになった。
合併構想を策定したり、それに基づいて市町村に合併協議会設置を勧告したりできる権限を都道府県知事に与えるほか、合併後に旧市町村を単位とする「地域自治組織」の設置を認めることが柱だ。
2004年度末に期限が切れる現行の市町村合併特例法に代わり、2006年度からの施行を目指す。
2004年度末の時点で1年以内の合併を知事に申請している市町村には、引き続き現行の特例法の規定を適用する方針で、こうした内容の合併特例法改正案も通常国会に提出する。
財政上の優遇措置は打ち切り
新法案では、現行の特例法で定めている、合併後10年間は合併前の地方交付税を全額保障することや、公共施設建設に合併特例債発行を認めることなど、財政上の優遇措置は打ち切る。一方で、知事への勧告権限付与など、新たな合併促進策を盛り込んでいる。
知事の勧告権限を明示
知事の協議会設置勧告には強制力はなく、勧告を受けた市町村長は議会に付議するか、住民投票を実施して、設置の是非を判断する。
合併後に 旧市町村を単位とする
「地域自治組織」の設置
一方、「地域自治組織」には、市町村長が選んだ、自治会や町内会など各種団体の代表者らによる「地域協議会」を設置し、旧市町村の声を合併後の市町村に届ける窓口の確保を目指す。地域自治組織設置には地方自治法の改正が必要なため、同法改正案も併せて通常国会に提出する方針だ。
規模の目安は盛らず
首相の諮問機関「地方制度調査会」は昨年11月にまとめた答申で、地方分権の受け皿を作るため、「おおむね1万人未満」の市町村の合併を進める原則を明記した。しかし、全国町村会などが「小さい自治体は合併を強制されかねない」と強く反対しているため、新法案には、合併市町村の規模の目安を盛り込むのは見送った。新法成立後策定するガイドライン(指針)に盛り込む方向で調整している。