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合併トピックス
堺市、美原町に
合併のほうび 437億円
指定都市へ熱烈コール
ホール・運動施設・・・批判も 2004年1月10日付「朝日新聞」夕刊より
関西で4番目の政令指定市を目指す大阪府堺市(約79万人)が、東隣の同府美原町(約4万人)に破格の条件で合併を働きかけている。人口比で20対1なのに新市建設予算の半額にあたる437億円を投じ、畑が広がる国道沿いの町役場付近に都市機能の「新拠点」をつくる計画だ。合併による政令指定市の実現が目標とはいえ堺市も財政は苦しい。「財政悪化の引き金にならないか」と懸念する声が堺市職員からも上がっている。
堺市、政令指定市化は30年来の懸案
堺市政にとって、政令指定市化は30年来の懸案だ。周辺の大阪狭山市、高石市との合併話がこの1年間に相次いで消え、美原町はいまや唯一の交渉相手。かたや美原町は大阪のベッドタウンとして人口が増加する一方、下水道普及率は63.4%で堺市に比べ基盤整備が遅れてきた。普通建設事業費も02年度で13億円にとどまる。
合併特例債でまかなえる建設費は約250億円
そんな事情を背景に03年春から始まった法定合併協議会は、合併後10年間に美原町域437億円、堺市域378億円、両域56億円の事業計画案をまとめた。国が返済の7割を負担する合併特例債でまかなえる建設費は約250億円。それを上回る額を美原町に回す。
美原町に、下水道整備・ホール・運動施設
美原側では、下水道整備に149億円をあて、老朽化した町役場を多目的ホールなどを備えた複合施設に建て替え、周辺にバスターミナルを整備して都市の「新拠点」にする。ほかに運動施設も二つ。2月ごろまでに成案としてまとめ、協定書の調印を経て各議会で可決されれば今夏までに府に合併を申請する。
堺市職労、「市の財政破綻の引き金になりかねない
」と心配
この計画を堺市職員労組(丹野優委員長)は「市の財政破綻(はたん)の引き金になりかねない」と心配する。同市は04年度の予算編成で89億円が不足すると試算して支出を見直し中。計画が合併後の人件費を現状の約8割に見込んでいるのも気になる。職員からは「いまでも四苦八苦しているのに合併特例債の3割返済をできるのか」「新市が黒字になるとは思えない。頭を冷やすべきだ」との声が出る。
堺市担当部、合併に強気
新市全域の普通建設事業費としてほかに10年間で総額2518億円を見込んでおり、堺市の担当部は「現行の6支所に美原を加えた7支所で考えればバランスは悪くない」(合併・指定都市推進部)と強気だ。
住民の意見は
計画を公表して住民に意見を募ったところ、170人から寄せられた。「合併で無駄が省ける」(13件)と期待がある一方で「多くがハコ物の公共事業。白紙に戻すべきだ」(9件)という声もあった。「なぜ美原町で437億円もの事業ができるのか」と財政計画の明示を求める意見も20件寄せられている。
美原町住民、住民投票条例を直接請求
両市町の合併を巡っては、美原町の高岡寛町長が02年11月に無投票当選した日に合併推進を表明。町民3192人が住民投票条例の制定を直接請求して町議会に否決され、03年暮れに町民7743人が改めて住民投票条例を直接請求している。
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