都道府県を廃止し、さらに広域な道州を置く道州制の導入について、朝日新聞社は47都道府県知事にアンケートを実施した。過半数の27人は導入に賛成したが、福島、兵庫両県知事が明確に反対、18人は「どちらともいえない」などとして賛否を保留した。また、「道州制実現の最大の障害は、権限や財源移譲に抵抗する中央省庁だと思うか」との問いには、導入への賛否を保留した知事を含め25人が「そう思う」と答え、国への警戒感が浮き彫りになった。
首相の諮問機関である地方制度調査会が2月28日、「道州制の導入が適当」と小泉首相に答申したのを受け、アンケート用紙を配布。4日までに全知事から回答を得た。
賛成の理由では「地方への権限や税財源の移譲を通じて地方分権を進めることができる」(山口)、「市町村合併が進めば、現在の都道府県では狭くなる」(茨城)、「広域的に取り組むべき課題が多く生じてきている」(岩手)などの意見が多かった。
ただ、多くは「120年間維持された都道府県制度の見直しにあたっては、その必要性などに国民的議論を尽くすべきだ」(大分)などの条件をつけている。
賛成の知事に導入時期のメドを聞いたところ、10年後が8人で最多。「財政危機を考えると急ぐべきだ」とする秋田が5年後、「10〜20年後くらいの時間軸が必要」とする鹿児島が20年後と回答。ほかは「答えられない」か無回答だった。
反対の2知事は「道州制のみが広域的課題に対応可能な制度ではない。一部の大都市への集中など新たな不均衡を生む可能性がある」(福島)、「都道府県は国からの権限移譲の受け皿として十分な実績と能力を持っている」(兵庫)などの理由を挙げた。
判断留保の理由は「一気に道州に改編するほど国民的な議論が高まっていない」(静岡)、「目的や国民にもたらすメリットや課題が不明確」(福井)など時期尚早論が大半だった。
道州制が導入されれば、国の役割は外交、安全保障、金融などの分野に限定される。ほかの仕事は道州に移し、さらに現在は都道府県が担う仕事の大半を市町村が受け持つことになるが、出発点は「小さな中央政府」の実現だ。
それだけに、大半の知事は国と地方の税財源を見直す三位一体改革で省庁が地方への権限や税財源移譲に強く抵抗した例を挙げ、「国が権限を手放す気があるのか、はなはだ疑問だ」(三重)と回答。導入賛成派からも「地方分権推進という理念を実現する道州制でなければ意味がない」(徳島)との声が多く寄せられた。
また、地方制度調査会答申が9、11、13の道州に分ける区割り3案を例示したことには、「道州制の理念や仕組みを議論するのが先決だ」(高知)、「区割り議論を先行させるべきでない」(千葉)との警戒感が強かった。
道州制とは
道州制の在り方 地方制度調査会答申 固まる
自治労連が第28次地方制度調査会の最終答申にあたっての見解を発表まる (自治労連HP)