門真市職労は、人気の映画「パッチギ!」などの監督で話題の井筒和幸氏を招き、市職労結成35周年記念市民のつどい「井筒監督とかどまで―平和と映画を語る―」が、ルミエールホール小ホールにおいて
2006年9月27日、200名近い組合員、職員、市民、地域団体のみなさんの参加で開催されました。
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主催者を代表して
西本委員長挨拶
「労働組合運動でも、仕事においても、自治体労働者として憲法を生かした市民のくらし・権利・いのちを守るため、奮闘していきたい」と決意表明。
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つどいで上映されたスライド
井筒監督 熱く大いに語る
ナショナルの掃除機のCMに出演
まず、井筒監督と門真とのかかわりについて司会者が質問すると、井筒監督は、1972年頃、三十代の若い頃に、ナショナルの掃除機のCMに出演した逸話を披露。
「ウルトラマンの着ぐるみで暑かった。差し入れのスイカがうまかったの覚えてますわ。あのCMで掃除機が売れ、私も結果として門真市財政に貢献できたのかもしれません」。
「パッチギ!」関西で生まれた監督として
井筒監督「関西は在日朝鮮人が多いところ。教養としてではなくて、親からとか、生活の中で目の当たりにしてきた差別感がある。関西で生まれた監督として『パッチギ!』は撮らなあかんと思った。関西の風土に日本人しか映ってないのはヘンだと思ってきたからね。
時代は68〜69年の京都ですわ。前の価値観を否定しながら新しいものを生んでいく、大きな動きのあったとき。その当時、ボクは高校一年生くらいやったけど、『人間にとって自由は何か』とか『戦争とは何か』を考えていたとき。ラジカルなことを考えていた。熱かった時代やったね」
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「パッチギ!2」を製作中。
舞台は東京の江東区
井筒監督「今、製作中の『パッチギ!2』は、東京の江東区が舞台。時代は一九七五年頃。李さん一家(『パッチギ!』のキョンジャ、アンソン兄妹の一家)がどうなったのかをやりたい。
隅田川をはさんで東の江戸川に、通称『朝鮮部落』がある。実は、東京は1940年にオリンピックをしようと誘致に名乗りを上げるんです。1936年はベルリンオリンピック。ナチスとしてのアピールやね。それで『日本も』となったんやね。ドイツもやったからうちもやって。その頃、日本は中国に軍隊を出してた。中国、朝鮮に行った日本人は何をしたのか日本の国民はまったく知らされていない。そんな時代やった。
江東区やけど、朝鮮人もいろいろいた。強制連行もあったし、済州島で土地をなくして日本にきたら儲けられると思ってきた人もいた。当時、江東区にあった石川島播磨の工場には強制連行された人が多かった。
ところが、1940年のオリンピックと一緒に万博も開くと言い出した。そこで、『朝鮮人は汚いから隠すように』いうて、江戸川に集めた。江戸川はもともと葦が生えているような埋立地でね、昔、糞尿を捨てていた糞尿地帯。そこに集めて住めといってバラックを建てた。しかし、日本自体がもう戦争で貧窮していたからね。その後東京オリンピックは中止になる。でも、朝鮮人部落は解放しなかった。50数万人もの朝鮮人がいる。
今、石原都知事が江戸川の小学校、民族学校やけど、それを壊す、立ち退きするよう要求している。いまも60数名の児童が通っている。この学校、日本では各種学校の扱いやから、運動場は要らない。だからよこせってことやね。『パッチギ!』を撮影した京都の西九条も再開発で立ち退きをせまってる。撮影する時にホルモン屋さんを建てようとしたけれどもなかなか許可が下りへんかった。また住み着いたら困る言うて。
立ち退きが決まって、市が用意した新しいマンションに優遇移住する。けどオモニたちは不満。いままでタダで住んでたのに、今度は家賃払わなあかん。でもここに住む人たちは、何も京都に観光しにきて、京都はお寺もあるしいいとこやから住もうか言うて住み着いたんと違うでしょ。しかたなしに、そこに住むしかなかった人たちや。関西の風土はそれを丸ごと抱えてきた」
バイオレンス映画見たら暴力はいややと思う
トーク終了後、会場からの質問に答えてもらいました。
質問「井筒監督の映画はケンカというか、バイオレンスが多くてよくないという人もいるが、次回作ではケンカ、バイオレンスはどうなるのか?」
井筒監督「テーマが平和でも、戦争とか悲惨な場面を描いてます。バイオレンスを見たら、もういやだと思うでしょ。それが狙いかな。
次回作でも、山手線の駅のホームで100人の大学応援団と朝鮮高校の高校生がたたかう。これも戦争。前回はバスを倒したんでね、今回は電車も考えたけど、それはちょっと無理やいうことになった(笑)。今度の映画では昔の戦争も描こうと思っている。どうしても一作目よりえぐくなる。
朝鮮人差別だって、就職差別で銀行なんかにはいけない時代やからね。日立の就職差別事件のあった時代。だから芸能界には朝鮮人が多い。でも名乗らない。できたらそういう芸能人も出したいね。
1975年頃から、熱かった時代から「ふらふらした時代」に入っていく。マイホームやマイカー、なごり雪、ユーミン、井上陽水。個人的な歌が流行する。イムジン川みたいな社会的な歌でなくて…。」
向こうは400館の連合艦隊
こっちはパルチザンや!
「 『パッチギ!2』は来年6月頃の公開を予定している。ちょうど東映が、石原慎太郎総指揮で、知覧特攻隊を映画にする。軍国主義、愛国心をあおる映画(「俺は、君のためにこそ死ににいく」)や。これに対抗したい。
向こうは全国で400館で上映する連合艦隊、こっちはパルチザンや(笑)」
憲法があぶない
トークもあっという間に終了時間となり、井筒監督に感謝の花束贈呈。
退場しながらも、井筒監督は「時間があれば、今日は2チャンネルとか、ネットの話をしたかった。アレは完全にファシズムや。ネットで誰かもわからんやつが、すき放題書いて叩く。ボクなんか、朝鮮人で、北朝鮮からきたスパイで、もう三十年も日本でスパイ活動していることになっている。憲法を改悪する危険な動きがある。憲法で保障されている言論・表現の自由がなければ私ら映画人は仕事ができない」と最後まで熱く語っていました。
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出演前に
井筒監督と
西本委員長と
記念写真
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参加呼びかけビラ(PDFファイル)
門真市職労 結成35周年記念式典