「タイガー魔法瓶」(大阪府門真市)で請負や派遣労働者として働いた30代女性の直接雇用を求め、個人加盟の地域労組が申し入れた団体交渉を同社が拒否したのは不当として、大阪府労働委員会(府労委)は15日、交渉に応じるよう命令したことを明らかにした。
女性が大阪労働局に違法行為を申告し、組合が交渉を申し入れた直
後に同社が派遣契約を解除したことを、府労委は女性への報復行為
と厳しく批判した。
命令書などによると、女性は01年9月から請負会社の社員としてタイガー魔法瓶で働き始めた。実際は同社の指示・命令で働く偽装請負の状態で、同社は04年3月、契約を派遣に変え、違法状態を形式的に解消。派遣期限は3年後の07年2月末までとした。
労働者派遣法は、期間が3年を超える場合は直接雇用を申し込むよう企業に義務付けている。女性は06年10月、01年から実質的に5年にわたり派遣労働者として働かされているのは違法として、大阪労働局に申告。女性が加入した地域労組も団体交渉を申し入れた。
労働局は06年11月、雇用を前提に派遣契約を解除するよう是正指
導。だが同社は契約を解除しただけで、雇用は拒否。団体交渉の申
し入れも無視した。
府労委は「偽装請負を申告し、直接雇用を求めたことを嫌悪して行った不利益な取り扱い」と指摘。同法は、違法行為の申告による不利益な取り扱いを禁じている。
女性は昨年2月、正社員としての地位確認と慰謝料などを同社に求め、大阪地裁に提訴 している。
タイガー魔法瓶広報室は「係争中でもありコメントは差し控えたい」としている。
【日野行介】
「一方的に派遣解除」
大阪の女性 タイガー魔法瓶を提訴 2007年2月26日付「朝日新聞」夕刊より
「タイガー魔法瓶で働いていた派遣労働者をすくう会」
結成総会 2007年11月30日(金)