違法派遣を告発し直接雇用を求めた派遣労働者が、労組を通じ派遣先に団体交渉を求めた事件で、直接雇用をめぐる交渉について、義務的団交事項であると明確に示す労働委員会命令が10月10日出されました。派遣労働者の待遇改善に活用できる命令です。
申し立てていたのは、北河内合同労働組合(大阪労連)。生活用品メーカーのタイガー魔法瓶(本社 門真市)で5年以上働いていた派遣労働者の女性が2006年秋、期間制限(原則1年)違反を大阪労働局に申告し、是正指導させました。その直後、同社は派遣会社との契約を中途解除。女性が職場を追われたという事件です。
派遣先であるタイガーは直接の雇用関係にないことを理由に、団体交渉に応じる義務はないと主張しました。
これに対し、大阪府労委は、同社が違法な事前面接を行ったことや、契約業務以外の仕事をさせていたことなどをあげ、女性を自社の社員と同じように働かせていたと認定しました。
そのうえで、派遣契約の解除は同社主導で行われたものであり、就労について支配できる地位にあったと指摘、「労組法上の使用者」と判断しています。
特筆すべきは、直接雇用をめぐる交渉について派遣先に応諾義務があると明記したことです。タイガー社は交渉の対象ではないと主張しましたが、命令はこれを否定。労働局が是正指導する状況下では、直接雇用は交渉のテーマになるとしています。
期間制限を超えるほど長く人を使いたいならば、直接雇いなさい――というのが、派遣法のルール。この規定は守られないことが多く、労組が目を光らせる必要があります。命令はこのほか労働条件、労使関係の確立についても義務的団交事項と明記しています。
2008年10月14日、大阪府労働委員会は、タイガー魔法瓶がおこなった「労働者派遣契約解除」「団体交渉拒否」が不当労働行為であると認定しました。
主文では「
労働者派遣契約解除後の同人の処遇に関して、同人の雇用の安定を目的として、申請人と誠実に協議を行わなければならない」「(「大阪労働委員会において、・・ (略)・・・不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さないよういたします」)の文書を速やかに手交しなければならない」としています。
タイガー魔法瓶鰍ヘ、大阪府労働委員会の命令を真摯に受け止め、労働組合への謝罪をするとともに、速やかに団体交渉に応じるべきです。
タイガー魔法瓶鰍フ不当労働行為を認定
2008年10月14日 大阪府労働委員会が命令
タイガー魔法瓶の不当労働行為を認定
大阪府労働委員会が命令 2008年10月15日付 「朝日」「読売」夕刊が報道
大阪府労委 派遣契約解除は報復
タイガー魔法瓶に 団体交渉を命令 2008年10月16日付「毎日新聞」より
タイガー魔法瓶で働いていた派遣労働者をすくう会
「一方的に派遣解除」
大阪の女性 タイガー魔法瓶を提訴 2007年2月26日付「朝日新聞」夕刊