総務省は自治体財政の健全度を測る4指標のうち、「実質赤字比率」と「実質公債費比率」の2指標について、自治体に対する「イエローカード」と「レッドカード」にあたる基準値を固めた。
イエローカードである「早期健全化基準」は、(1)実質赤字比率については2.5〜10%以上で設定(2)実質公債費比率は25%以上――とする方向だ。この基準を超えた場合に、自治体に財政健全化計画の策定を求めることになる。
今年6月成立の地方自治体財政健全化法は、北海道夕張市のように財政が破綻(はたん)してしまう前に、できるだけ早期に財政悪化を把握し、改善に着手してもらう仕組みをつくるのが大きな柱。
そのための「イエローカード」となるのが早期健全化基準。総務省は、実質赤字の標準財政規模に対する比率である「実質赤字比率」と、自治体収入に占める借金返済額の割合を示す「実質公債費比率」でともに、従来は起債を許可・制限する基準としてきた値をあてはめた。今後はこの数値を超えると、起債の許可・制限だけでなく、全面的な財政健全化計画を策定しなければならなくなる。
実質赤字比率では、起債に許可を必要とする値である、▽都道府県と政令指定都市、標準財政規模500億円以上の市は赤字額が標準財政規模の2.5%以上▽同50億円未満の市町村は10%以上――などの範囲で早期健全化基準が設定される。
実質公債費比率では、現在は25%以上だと単独事業への起債が制限されるが、総務省はこれを基本に早期健全化基準を決める。
一方、レッドカードである「財政再生基準」は、自治体財政を破綻認定する際の基準値だ。現行制度では、実質収支に占める赤字の割合が都道府県5%以上、市町村20%以上となると、財政再建団体とみなされるが、これと同じ基準値を使うことにした。実質公債費比率では、従来は一般公共事業などで起債が制限される35%以上で、財政再生基準を設定する。
基準値を超えれば財政再生団体として財政再生計画の策定が求められ、国が財政再建を管理する。
総務省は近くこれらの基準値や方向性を自治体に示し、年内に4指標の基準値を確定する。現段階で実質赤字比率の財政再生基準以外の数値に幅を持たせているのは、自治体の財政状況を考慮する余地を残すためだ。
財政健全化法を考える
164市町村
連結赤字 財政健全化法成立 新指標 2007年6月16日付「朝日新聞」より
自治労連が財政財政健全化法のパンフレットを発行
ノーモア「夕張」 財政健全化法成立 2007年6月16日付「朝日新聞」よりA
「うちは大丈夫?」公表データ分析
市民に広がる監視の目 2007年6月16日付「朝日新聞」よりB
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14.6% 26位」を考える