「門真市 連結赤字収支比率が

       14.6% 26位」を考える

  

 日本経済新聞が試算したところによると、「地方自治体の4%超にあたる78市町村の財政が2005年度に、公営企業などを含む連結ベースで赤字だった」とし、門真市も連結赤字収支比率が14.6%とし、26位となっていることが、2007年6月3日付「日本経済新聞」で報道されました

 

地方自治体の財政悪化は政府の責任

  今国会で審議中の地方財政健全化法案が成立すると、08年度から財政の健全度を測る新たな指標として「連結実質赤字比率」が導入され、

  赤字比率が高いと北海道夕張市のように国の管理下に置かれ、行政サービスの削減など住民生活にも影響が及び、大きな赤字事業を抱える自治体は抜本的な財政再建を迫るとしています。 
 
 しかし、財政破綻の原因は、地方自治体だけにあるのではなく、むしろそれを指導・誘導・押し付けしてきた政府に責任があります。

 政府は、アメリカの圧力のもと、内需拡大として地方自治体に対して公共事業をおこなわせ、借金しても地方交付税で補填するとして、多額の借金を積み重ねてきました。

 また、、「三位一体の改革」によって地方交付税を大幅に削減しています。

 この政府の責任を明確にせず、財政悪化した地方自治体に対して「財政健全化計画」を義務付ける地方財政健全化法案には問題があります。

 財政資料の公開は住民による監視を強めるものとして評価するものといえるが、国による自治体への関与を強化し、地方自治を侵害しかねないものです。

 夕張の財政放たんは、政府と北海道は、夕張市の過大な観光開発と放漫な財政運営が原因だとして、一切の責任を夕張市に押し付けてきていますが、しかしその責任は政府あります。

夕張市財政破たんの教訓  明確にすべき政府の責任


 

 7位となった泉佐野市も、国・大阪府の誘導による関西空港関連の大型開発事業による財政破綻といえます。(22位の泉大津市も同様)

 また、泉佐野市・泉大津市・忠岡町も公立病院を抱えており、その特別会計の赤字が影響を与えています。

 

門真市の問題 国保会計の影響

 

 門真市は、国・大阪府の誘導による大型開発はおこなわす、堅実な財政運営を行ってきました。

 門真市の連結赤字収支比率が「14.6% 26位」となったのは、国民健康保険事業特別会計の赤字額によるものです。17年度の決算によれば国民健康保険事業特別会計は単年度赤字が8億5,902万3千円となり、累積(実質収支額)が50億6,296万8千円の赤字となりました。一方、一般会計は2億4,361万円6千円の黒字となっています。

  各会計の17年度の決算は、下表のとおりです。総額は、歳入が前年度より3.8%減の744億5,654万8千円、歳出が2.4%減の789億406万7千円、その結果、歳入歳出差引額は、マイナス44億4,751万9千円となりました。

 

国保会計の悪化に国の悪政の影響が・・・

 

 門真市の国保会計の悪化の原因の第1に言えることは、1984年の法改悪で国は市町村国保への国庫支出金を引き下げたのを皮切りに、国の責任を次々と後退させてきたことにあります。

 1984年度から2004年度の間に、市町村国保への国庫支出金が49・8%から34・5%に減った結果、国保会計は厳しくなり国保料は、倍増しました。


 第2に門真市独自の問題として、門真市は、低所得者層が多いいこと、零細な自営業者や日雇い労働者が多いいため、全世帯のうちおおよそ5割近くが国民健康保険に加入しているため、保険収入が少なくなってます。また、国保料を払えない人も多く、収納率の低下になっています。

 一方、有病率も高く、従って国保会計の支出が多くなっています。

 国保会計の収入が少なく、逆に支出が多いい構造的なものとなり、国保会計が悪化した結果、「払いたくても払えない」という意見がでるほどの保険料が高額となり、収納率の低下、会計の悪化と悪循環となっています。

 第3に、国の悪政による長期不況、格差と貧困の拡大、社会保障の改悪、増税など負担の増大によって、市民生活の悪化によって、収納率の低下、会計の悪化となっています。

 また、この間の労働規制の緩和政策、大企業のリストラにより、派遣・パート・アルバイトなど非正規労働者が増加し、そのほとんどが国民健康保険に加入しているため、国保会計をより悪化させています。

 国庫負担の削減による財政悪化と国保加入者の“貧困化があいまって、保険料が高騰し、滞納者が増え、財政が悪化するという悪循環が拡大しています。

  

守口市 連結赤字収支比率が19.2% 16位

 

 興味深いのは守口市が「連結赤字収支比率が19.2% 16位」になっていることです。

 門真市の合併の対象として守口市が検討され、住民投票によって合併は破綻しました。その守口市は、門真市よりも財政状況が悪いことが日本経済新聞試算でも明らかです。

 また、国は合併すれば、「合併特例債」という借金ができる、その借金も地方交付税で補填するという合併誘導政策をおこなってきました。しかし、その結果、合併した多くの市町村においては多額の借金による財政悪化が問題となっています。

 国のいうがまま、守口市と合併すればどのような結果になったのか、考えさせられます。

 

  上記表は、2007年6月3日付「日本経済新聞」より

 

財政健全化法を考える

 

財政健全化法にもとづく 門真市の4 指標 (平成19年度決算ベース)が明らかに

 

財政破綻指数複数に 「連結赤字比率」市町村は30%以上  総務省が基準決定 2007年12月7日付「朝日新聞」夕刊より

自治労連が財政財政健全化法のパンフレットを発行

 

164市町村 連結赤字  財政健全化法成立 新指標  2007年6月16日付「朝日新聞」より@

ノーモア「夕張」 財政健全化法成立 2007年6月16日付「朝日新聞」よりA

 

「うちは大丈夫?」公表データ分析 市民に広がる監視の目  2007年6月16日付「朝日新聞」よりB

 

財政破綻前に外部監査 自治体健全化法案、提出へ  2007年3月7日付「朝日新聞」より

 

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