政府・与党は11月18日、国・地方税財政の三位一体改革の骨格となる「基本的枠組み」を決めました。
05・06年度で総額三兆円の補助金削減を明記。義務教育費国庫負担金の扱いは結論を先送りしたものの、文教関係の補助金削減は容認しました。
政府・与党は「枠組み」を基に、個別補助金の削減額で調整を進め、11月26日に「改革」の全体像を取りまとめる方針です。
「基本的枠組み」はこの「交付税改革」について、「『(骨太の)基本方針2004』を順守する」と明記しました。交付税を「抑制する」と閣議決定(6月)した骨太方針を追認したものです。
義務教育費国庫負担金削減問題では
「枠組み」では、国民の権利と国の責任の後退を招きかねない義務教育費国庫負担金削減について「(八千五百億円の削減を求めた)地方案を生かす方策を検討する」とする一方、「05年秋までに中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)で結論を得る」としました。その上で「05年度予算での措置は別途検討する」として、05年度からの文教関係の補助金削減の方向は明確にしました。
義務教育費国庫負担の削減では、「国の責任を引き続き堅持する」という表現で制度存続の方針を織り込みつつ、「(平成)17年度予算での措置については、別途検討」と付記して、来年度から現行2分の1の補助率の引き下げを盛り込もうとしています。
補助率を3分の1に引き下げ八千四百億円を削減するという自民党文教族の代替案を取り入れることで、中学校八千五百億円の補助削減を求める地方案を「生かせる」というものです。
憲法にもとづく教育の機会均等、義務教育の無償制を保障する同制度の重要な役割を守るかどうか、根本的に問われています。
社会保障分野では
社会保障分野では、地方側が強く反対している都道府県の国民健康保険の負担増、生活保護費や児童扶養手当の補助率引き下げをそれぞれ「検討する」と明記しました。
税源移譲は
補助金削減に伴う地方への税源移譲としては、既に実施済みの04年度分(約六千五百億円)を含め「三兆円規模を目指す」と明記しました。
交付税削減、地方に迫る
地方交付税については、地方側からの強い批判で「二年間で七兆―八兆円削減」という財務省案は退けられましたが、〇五年度から「国・地方の双方が納得できるかたちで歳出削減に努める」とし、地方交付税削減を改めて明確にしました。
小泉首相が「真摯に受け止める」という地方六団体案(八月)は、「『三位一体』に名を借りた地方への一方的な負担転嫁は、絶対に認められない」とのべ、地方交付税削減に絶対反対の立場を打ち出しています。
全国知事会などが約九千人を集めて開催した11月17日の決起大会でも「交付税等の大幅削減は、国と地方との信頼関係を著しく損なうものであり…断じて容認できない」と決議をあげています。
「枠組み」によって、この間の協議で生じた政府・地方自治体の溝をただちにうめることはできません。
小泉首相にとっては、地方に「配慮」した形をとり、地方交付税抑制を地方六団体側に迫っていくねらいもあります。
「枠組み」をもとにした「三位一体改革」の具体化はまったく予断を許しません。
2004年度門真市の予算では、国の三位一体改革による補助金削減の穴埋めとして新設される「所得譲与税」2億2700万円を見込まれています。
保育所委託負担金の削減など、3億円余りが削減され、市の持ち出しが約8千万円増えることになります。
さらに地方交付税とその不足分を補う臨時財政対策債の総額では、全国平均約12%削減されていることから、門真では約8億円余りが減らされていると思われます。
国の三位一体改革によって、門真市の財政が2004年度だけで総額約8億8千万円が減っています。
●「三位一体改革」とは
●当面する地方税財政改革に対する自治労連の提言
政府の進める「三位一体改革」への対案
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「骨太の方針第4弾」
● 「平成の自由民権運動だ!」
財政危機突破で地方6団体が集会
● 門真市議会において「地方分権の確立するための真の三位一体改革の実現を求める意見書」が全会一致で採択
●全国知事会議採択 3.2兆円の補助金削減
「三位一体の改革」 地方自治、暮らし どうなる