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門真社保協ニュース No.5 発行日 2003年 2月13日 介護報酬改定について
〜 現場からみた介護保険 〜 4月から介護報酬が改定されます。全体でマイナス2.3%改定となり、事業者の報酬が引き下げられます。そのため利用者負担も一部で下がるものもありますが、良質なサービスが維持できるのかどうか疑問の声も挙がっています。また、訪問介護など利用者の多い項目の報酬が引き上げられるなど、利用者にとって「割高」な部分もあり、評価が分かれています。 今回は「介護報酬改定が現場にどうかかわるのか」を市職労組合員の方に解説いただきました。 【訪問介護】家事援助 介護保険がスタートした地点から家事援助の単価が低いと指摘されていた。利用実態に応じて、創意工夫が必要とされ、手間がかかり、特に痴呆高齢者に対してはその人のリズムに合わせて根気のいる対応が望まれていた。今回の改定はむしろ、遅すぎる改定と言わざるを得ないが、ヘルパーの仕事への評価につながり、又、励みにもなる。 【身体介護】 家族介護のたいへんさをどう解消するのかという問題を含め、痴呆高齢者の複雑な症状と生活障害に対応するのに、長時間の介護が必要な人には負担が減るので評価できるが、反面、遠距離への半日がかり、又は午後まで延長される通院介助の利用料金が一時間半以降、30分ごとに830単位のみというのは事業所の採算がとれるのかという点では疑問が残る。実質の介護報酬は引き上げらたのだろうか。 【介護タクシー】 ケア計画の要の“定期的医療管理”は近隣の病院なら、中断することなく受診し、疾病の悪化を予防できるが、バス、電車を乗り継いでの通院は困難で、利用者にとって朗報であった。迎えの車がくれば、本人の体調が思わしくなく、高齢の介護者のつき添いであっても、ヘルパー資格をもつ運転手が介助してくれ、力強い存在で対応も親切で、利用者の評判は上々であった。 今回、一回千円という報酬で既存の事業所が、このサービスを継承してくれるのか懸念の声があがっている。 現在、週3回、透析に通う利用者の頼みの綱をどうしたらよいのか、頭の痛いところである。 このサービスが要介護を改善する効果をもたらしているということを考慮しての報酬改定なのであろうか。 【ケアマネージャー報酬】 17%引き上げというが、予想より、期待より低い報酬である。自分の給料を自力で稼げないという負い目の立場は当分、続きそうである。 現場に行く(モニタリング)が基本であるべきはずなのに、利用者と充分に向き合うことができない。自分の能力以上の利用者件数を担当しているジレンマは常につきまとう。 又、介護保険料以外のサービスを活用し、高齢者の生活支援という立場をとれば、それに伴う事務手続きや、入院中の利用者への対応、又、退院前ケアカンファレンスに各機関との連携に時間を費やしなければならず、時間がいくらあっても足りない。 そして、これらの仕事は事業所に何の利益ももたらさない無報酬の仕事であり、肩身の狭い思いはいなめない。 この対価はだれが負担すべきなのか。当然、ケアプラン料に加算すべき報酬ではないでしょうか。 介護保険が適用される四種類以上のサービスを組み合わせたケアプランに加算するしくみがもりこまれたが、数を増やすことのみに腐心するのは本末転倒といわざるを得ない。 インフォーマルのサービスを使い、地域で支えてもらっている高齢者もたくさん存在するのである。そして、利用者負担が発生することが念頭にあるのではないのか? 現在、仕事にある程度は慣れ、経験、知識情報の交換ができるようになり、利用者との信頼関係が徐々に確立され、ケアマネージャーとしての喜びや充実感はあるが、ひとりひとりの利用者とじっくり向き合い、各機関との調整、会議等を開く時間をもち、納得した仕事がしたいと切に思っている。 *紙面に対するお問い合わせは 吉見(保険医協会、06-6568-7721)まで |