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門真社保協ニュース No.9 発行日 2003年 7月 9日 老人高額医療費、3割が未償還 〜 保険医協会が調査 〜 ◇86%の自治体が回答 府下の開業医6300人でつくる大阪府保険医協会(以下、保険医協会)は、府下全44市町村を対象に「老人高額医療費償還払い・自治体アンケート」(2002年10月〜2003年1月分対象)調査を行い、大阪市など4自治体を除く各自治体から回答を得ました。 医療費の自己負担割合は加入保険、所得の違い等によって異なりますが、いずれの場合も月単位で支払の限度額が決められています。この限度額を超えた部分が償還されます。しかし自治体によって償還方法が異なるなど、被保険者にとって分かりにくい制度のため、未払いが多く発生しています。以下、調査の概要を報告します。 ◇高額医療費(償還払い制度)とは? はじめに高額医療費制度とはどのようなものなのか、考えてみたいと思います。 老人医療の受給者(老人保健受給者証を持っている方、証の色は白)が1ヶ月間に医療機関や保険薬局で支払った額が、自己負担限度額(12000円、但し所得により額が上下します)を超えた部分について、お金が戻ってくる制度です。償還払い制度とも呼びます。 門真市の場合、申請の流れは次のようになります。
A内科 感冒性胃腸炎 700円 + B眼科 糖尿病性網膜症(両眼)手術施行 20000円 ポイントT 市太郎さんが5月に支払った医療費負担は合計20700円 ポイントU 市太郎さんが自己負担限度額は12000円(所得により異なります)。 ポイントV 20700円−12000円=8700円が8月末に振り込まれます。 ◇門真では13.4%が未支給 保険医協会の調査では、数字が明らかになっている府下27市町村で、1億84万円にも上る未払い金がある事が分かりました(表参照、『大阪保険医新聞』2003年7月5日号から転載)。これを率に換算すると30%を超える対象者が未申請であることになります。さらに1件あたりの平均で考えると2989円、同じく1人あたりでは8701円と大きな額になっています。 事前通知を行っていない守口市や堺市、東大阪市では、未申請者の割合が50%を超えています。特に76%と府下ワースト1の未申請率となっている堺市では4月から急遽、対象者に対して申請書の送付を始めています。 申請方法については府下26(60%)の自治体で「郵送による申請を受け付ける」としており、「原則窓口」と回答する自治体を大きく上回っています。 門真市では、2721人の対象者に対し、未払いは364人で、未払い率は13.4%になります。このように未払い率を比較的低く抑えられている背景には、市当局が老人保健対象者に事前に口座登録(郵送可)をお願いしている点や登録が済んでいない対象者にも該当初回月には限りますが、通知を行うなど他の自治体に比べ、丁寧な対応をとっていることが挙げられます。これも日頃の社保活動の成果ではないでしょうか。 ◇求められる未申請者対策 このように多くの老人高額医療費の未償還が多く存在していることが明らかになりました。そこで自治体に今、求められているのが未申請者対策です。調査結果によれば府下過半数の自治体で再通知等の対策の実施や検討が行われています。 対応が遅れている原因の一つに、職員が日常の業務に加え、煩雑な償還払いの手続きに忙殺されている点も見逃せません。 また、「郵便局に振り込んで欲しい」と償還払いの振込先として郵便局を希望される方も多いと聞きます。しかし、法解釈によ り郵便局は、口座振替の対象と認められていません。そのため支払いを受けるためには、銀行口座を開設しなければならず、未申請者を増やす原因にもなっています。 今後は、自治体によって異なる通知や申請方法の統一や簡素化、国・厚生労働省の責任で郵便局での口座振替を認めること、そして入院医療や在宅医療の一部に導入されている現物給付方式(自己負担限度額を超えた部分については窓口で支払う必要がなく、申請などの手続きも不要)の導入を求めていく必要があります。 ◇老人保健以外にも償還払い制度 老人保健受給者に対する「高額医療費」制度以外に、高齢受給者、老人医療対象者、国保・健保患者に対しても「高額療養費」制度があります。それぞれ定められた自己負担限度額を超えた部分については、償還されます。 詳しい手続きの方法は、各保険者か保険医協会までお問い合わせ下さい。 (大阪府保険医協会・吉見) *紙面に対するお問い合わせは 吉見(保険医協会、06-6568-7721)まで |