区切りの「三位一体改革」

  国支出9兆8000億円削減

  地方自治体や住民生活負担増                         トップページ


 小泉内閣は、「構造改革」をすすめるといって、国民に様々な“痛み”をおしつけてきました。その柱の一つが「国と地方のあり方」にかかわっての「三位一体の改革」で、これによって、国から地方への財政支出をけずり、自治体と住民サービスを切り捨てていこうというのがねらいです

 2004年度から本格的に始まった地方税財政の「三位一体の改革」が2006年度で一応の区切りとなります。

 この3年間で、国庫補助負担金の削減は4兆7千億円(03年の先行分を含む)、地方交付税は5兆1千億円の削減となりました。つまり国から地方への財政支出は合計9兆8千億円削減されました。

 一方、国から地方への税源移譲は3兆円です。国の財政対策で自治体と住民に負担が押しつけられる結果になりました。 税源移譲の実体は二兆円ですから、自治体の削減額は表向き以上です。

 

  地方自治体 財政影響
国庫補助負担金 ー4兆7千億円
地方交付税 ー5兆1千億円
税源移譲  3兆円二兆円
 差し引き ー6兆8千億円(ー5兆8千億円)


「数合わせ」の「三位一体改革」


  「政府・与党合意」(2004年11月26日)は05、06年度予算で国庫補助負担金を三兆円程度廃止・縮減、税源移譲はおおむね三兆円程度、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方税、地方交付税などの一般財源総額の確保を決めました。

 「三位一体の改革」は、この「政府・与党合意」の「数合わせ」となっています。


 国庫補助負担金の大半は国と地方公共団体の財政責任を定めた地方財政法第10条の「国が進んで経費を負担する必要がある」国庫負担金です。
 こうした国庫負担金が創設されるにはそれなりの理由があるはずです。廃止・縮減を行う場合、どういう経緯でつくられたものなのか、その事務は国か地方かどちらが行うのがふさわしいか、そういったことについて検討するのが当たり前です。
 ところが、2004年度の公立保育園に対する国庫補助の廃止や義務教育費国庫負担金が削減にみられるように、そうした検討がなされたという形跡がありません。


 3兆円の税源移譲についても問題です。

 税源移譲というのは「地方の自由度を増す」ために歳入の質の転換を図るもので、国庫補助負担金から地方税に振り替えることが本来の目的です。
 ところが、税源移譲の対象となった補助負担金は目数で117(重複分を除くと93)ありますが、補助負担金の全額が税源移譲されて一般財源化されたものは35だけです。つまり、税源移譲の目標額はクリアしたが、額の大きな補助負担金に狙いを定めて、その補助率を引き下げることで目標を達成する手法をとりました。そのために、国のヒモのついた国庫補助負担金が税源移譲の対象となりながら、まだ3分の2も残っているという結果になったのです。

 もちろん、その補助負担金で行う仕事が、本来国と地方のどちらがやるべきかの判断は別途されなければなりません。しかし今回のような税源移譲のやり方では、「地方の自由度が増した」などとは到底言えません。

税源移譲2兆円
 また、税源移譲の方法として所得税から三兆円を住民税に移します。所得税として入った税収の32%は地方交付税として地方に配分されることになっています。その地方交付税の対象税目の国税が減りますから、地方交付税も減ることになります。

   今回の場合、三兆円の所得税が国から地方に税源移譲されることによって、交付税はその32%、約1兆円が必然的に減ることになります。この減額については補てんするという約束がまったくありません。三兆円の税源移譲といいますが、実体は二兆円です。

地方自治体の本来の役割を放棄するかの根本にかかわる問題


 このような「三位一体改革」の影響により、地方では予算が組めない地方自治体が生まれました。

 とくに財源保障機能と財 源的整機能を持つ地方交付の削減が自治体間の財政 格差を拡大しつつあると言えます。

 04年度に始まっ た地方交付税の削減は、05年度9,557億 円、06年度1兆3,065億円とその後も続いてい ますから、自治体間の財政 状況の格差はさらに拡大し ています。

 全体の規模がマイナスという状況の中で、 「三位一体の改革」との関連で児童扶養手当や児童手 当の地方負担分が増額されます。当然他の歳出に影響 が出たり、財源を手数料や使用料の引き上げに求める動きや自治体独自の補助金の見直しも出て来ています

 いずれにしても歳出削減の圧力がいっそう強くなることが想定されます。その結果、住民やこどもの命や財産に直接関係する職員の配置を国の定めた基準に満た ない配置に切り下げられることが予想されます。

 これは住民サービスが低下するなどというレベルの 話ではありません。国や自治体の本来の役割を果たす か放棄するかの根本にかかわる問題です。

 

「交付税 今年度以上の額を確保すべき」   地方6団 体 が申し入れ 12月7日

補助金2兆8千億円削減 政府・与党 「三位一体の改革」の「全体像」を決定 2004年11月26日

 

補助金3兆円削減 政府・与党 「三位一体の改革」の「基本的枠組み」を決定 2004年11月18日



全国知事会会長 「地方軽視、地方無視ともいうべき姿勢に対しては、『地方一揆』の実行を」  地方6団体が1万人集会 2004年11月17日

 ●当面する地方税財政改革に対する自治労連の提言
 政府の進める「三位一体改革」への対案

 

 ● 「骨太の方針第4弾」

 

 ● 「平成の自由民権運動だ!」 財政危機突破で地方6団体が集会

    

 ● 門真市議会において「地方分権の確立するための真の三位一体改革の実現を求める意見書」が全会一致で採択 

 全国知事会議採択 3.2兆円の補助金削減
「三位一体の改革」 地方自治、暮らし どうなる